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目黒「九条の会」ネットワーク |
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目黒「九条の会」ネットワークは、11月15日(水)、「講演とディスカッションの夕べ」を開催しました。 講演は、日本平和委員会代表理事・原水爆禁止日本協議会常任理事・下目黒在住の佐藤光男さん。 講演の要旨を紹介します。
パンフレット「平和へのロードマップ」をテキストに、ページをめくりながら説明をすすめていきます。このパンフレットは12月に岩国・広島で開催する2006年日本平和大会のための学習パンフレットで、平和委員会で私も参加してつくったものです。手前味噌ですが、なかなかよくできていて、きょうのテーマに合っていると思います。 5月1日に2+2(日米外務・防衛担当大臣4人)の日米安全保障協議委員会が合意文書「米軍再編実施のための日米ロードマップ」を発表しました。そのなかみは米軍基地再編強化計画。その最大のねらいは日米軍事同盟を“地球規模で”米軍と自衛隊がいっしょに戦争できる軍事同盟にすることです。(これは「戦争へのロードマップ」です。これを意識して、このパンフレットを「平和へのロードマップ」としました。)6月29日の日米首脳会談の共同声明「新世紀の同盟」でも「21世紀の“地球規模で”の協力のための新しい日米同盟」を宣言しました。 01年11月17日以前は、自衛隊の任務は@防衛出動(日米安全保障条約第5条、日本が攻撃されたときの出動)、A治安出動(国内の反戦の行動等を弾圧する出動)、B災害出動の3種類でしたが、これにC護衛出動(米軍基地〔これは出撃基地です〕を警護する出動)が加わりました。いま国会にかかっている「防衛省昇格法案」が通されれば、日本を守ることが「付随任務」になり、国際協力の名で海外に展開することが「本来任務」になります。 99年5月24日の「周辺事態法」のあと、2000年10月11日の「アーミテージ報告」が、「憲法第九条第2項が日米同盟の障害になっている、集団的自衛権を行使できるようにする必要がある、有事法制を整備すべきだ」等々の要求をつきつけました。(「アーミテージ報告」の作成にあたっては、共和党・民主党の双方からメンバーが参加し、内容を全会一致で決定しています。)それに沿った動きとして、日本の法律1600本のうちの475本について、戦争しない国の法律から戦争する国の法律へという改定が行われ、戦争に国民を動員する法制が整備され、それに罰則もついて、法律のうえでは憲法を逸脱した戦争の体制ができました。安倍首相は、集団的自衛権の行使の検討に踏み込みました。これからすすめようとしていることは、法律に憲法をあわせることです。最後の歯止めは憲法第九条だけになってしまいました。 日本には日米安保条約にもとづく米軍基地が135おかれています。とくに沖縄は本島の2割が基地にされています。しかも、日本にいる米軍部隊は、米空母打撃群、侵略の尖兵である海兵隊、航空宇宙遠征軍など、“殴りこみ部隊”ばかりです。日本の防衛とは関係ありません。このたびの米軍基地再編は米軍にとって史上最大の基地再編です。沖縄戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争をすすめた陸軍第1軍団司令部がワシントン州オリンピアから神奈川県の座間にきます。ここに、陸上自衛隊中央即応集団司令部が移転します。横田に在日米軍司令部と第5空軍司令部がおかれ、航空自衛隊航空総隊司令部が府中から移転してきて、米軍・自衛隊の統合司令部「共同統合運用調整所」ができます。横須賀には第7艦隊の司令部があり、世界唯一の米空母海外母港で、原子力空母ジョージ・ワシントンが配備されます。岩国にはBFA18スーパーホーネット(スーパーすずめばち)などが来て、極東最大の航空基地になります。青森県車力のXバンドレーダーは「ミサイル防衛」の一環ですが、アメリカに向かって飛んでいくミサイルを日本の領海内でキャッチし、打ち落とすためのもので、「集団的自衛権」の行使そのものです。自衛隊の装備はすべて日本防衛のためのものから、海外での戦争のためのものに切り替えられました。空中給油機もそうです。高速輸送艦もそうです。これは、1000人の兵士、8機のヘリコプター、400トンの物資を運ぶ輸送艦です。5月1日の「ロードマップ」では3,300ある自衛隊の基地すべてを米軍と共用できるようにすることが確認されました。 05年10月29日発表の日米安全保障協議委員会の合意文書「日米同盟『未来のための変革と再編』」では、米軍と自衛隊との一体化(政府から部隊まであらゆるレベルで戦略・戦術など政策・運用を調整すること、司令部の一体化、共同訓練・演習の拡大、情報の共有と秘密保護体制、基地の共同使用など)、海上輸送の向上(高速輸送艦等)、「有事法制」の活用などが重視されています。 各地の米海兵隊と陸上自衛隊との共同訓練では、イラクから帰った部隊から敵前上陸訓練や市街地戦闘訓練の手ほどきを受けています。去年の11月15日にテレビ朝日「報道ステーション」が米フォートルイス基地での市街地戦闘訓練について報じました。米陸軍第1軍団に陸上自衛隊普通科教導連隊が指導される訓練でした。指導したファルコン軍曹は、「この訓練は我々が実際にイラクでやってきた戦いとまったく同じで、重要な訓練です。将来ほんとうの戦場でいっしょに戦えることを楽しみにしています」と述べています。この教導連隊は帰ってきてから東富士演習場などで全国各地の陸上自衛隊にその成果を受け継ぐ訓練を繰り返しています。 日本の米軍基地を“地球規模”の“殴りこみ部隊”の“司令・出撃基地”として強化し、自衛隊が米軍の一部になる、これが米軍基地再編強化計画のなかみです。 06年2月4日公表の2006年版「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)などでは、ブッシュ政権の戦略として、フセイン政権の「大量破壊兵器開発」も、「テロリスト支援」もウソであったことが明らかになったのに、イラク侵略と占領を正当なものとし、今後も対テロ「長期戦争」を推進していくことを宣言しています。さらに「国益」を守るために、「戦略的岐路にある国」(価値観と利益を共有しない国)が「敵対的な道を歩む可能性に備え」て、同盟国に緊密な軍事関係を求めています。また、核兵器を先制使用する立場をとり、非核国に対しても核兵器使用がありうるとしています。危険な戦略です。 そして、太平洋地域に戦力を集中するとしています。11隻の空母のうち少なくとも6隻を、また、潜水艦の60%を太平洋に配備します。1隻に広島型原爆4千数百発分の核兵器を積めるトライデント型戦略核原子力潜水艦14隻中9隻を太平洋地域に配備します。広島型原爆の10倍の破壊力を持つ核トマホークミサイルを積める攻撃型原潜を横須賀、佐世保、ホワイトビーチに配備します。 ブッシュ政権は中間選挙で敗北し、上院も下院も民主党が勝ちました。変化は避けられません。これからの2年間、イラク戦争などについて、なんらかの手直しをすることになるでしょう。しかし、これからの戦争を視野にいれて、“地球規模”で日米軍事同盟を強化していく方針を棄てることは考えられません。そして、安倍首相は著書「美しい国へ」のなかで「日米同盟はベストの選択」と述べています。 日本政府は米軍基地に対して(約2500億円の「思いやり予算」をふくみ)5000億円〜6000億円を毎年支出してきました。これに加えて、このたびの米軍基地再編のために今後5〜6年で3兆円もの税金を投入しようとしています。このなかには、グアムに海兵隊基地を建設する費用6900億円もふくまれています。この3兆円という数字は、ローレス米国防副次官が4月25日の記者会見で述べたものです。 政府は財政赤字を理由に社会保障を次々と削り、たいへんな増税を押しつけていますが、この3兆円がいっそうの福祉切り捨てと大増税につながることは明らかです。残り時間が少なくなりました。話を急ぎます。03年〜04年の「有事法制」では、自治体・民間企業に対して、政府・自衛隊・米軍に協力する責務を負わせ、日本が攻撃を受けていない状況で、米軍・自衛隊が港湾・飛行場・道路・海域・空域・電波を優先的に使用し、自衛隊が土地・家屋・施設・物品を取りあげ、医療・建設・輸送関係者を戦争に従事させる仕組みをつくりました。この「有事体制」づくりの一環として、「有事」のばあいに国民を米軍・自衛隊の軍事行動のじゃまにならないように「避難・誘導」するという「国民保護」体制を、各自治体が来年3月までにつくるよう強制しています。来年以後、大人だけでなく保育園にいたるまで、「有事」を想定した「避難訓練」などが強制されるでしょう。啓発や訓練を通じて、国民を戦争体制に組み込み、ふだんから戦争に協力するようにしようとするものです。 きょう衆議院の特別委員会で与党だけで採決を強行した教育基本法改悪は、政府に教育を支配する権限を与え、戦争に反対する教育をさせないための、戦争をする子どもをつくるためのものです。憲法改悪の手続きを定める国民投票法案の審議もすすめられています。自民党の「新憲法草案」は、地球規模で米軍・自衛隊が一体になって戦争できる体制をつくるうえで最大のハードルになっている憲法第九条第2項を削除し、自衛軍の保持を明記し、自衛軍が「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動を行う」としています。イラク戦争のようにアメリカが一方的にしかけた戦争にも「国際平和と安全のため」の活動だといって「自衛軍」が参加できるようにしようとしています。絶対に許すわけにいきません。 イタリアでも、オランダでも、中南米でも、「規制緩和」・「官から民へ」・「社会保障の大改悪」を特徴とする「新自由主義」に反対するたたかいが高まっています。日本でも労働者・農民・中小企業の業者、社会保障の改悪・大増税に苦しむ国民の悲鳴があがっており、くらしを守る運動が大きく広がる条件が強まっています。 ブッシュ政権は世界でも孤立を深めており、いま軍事費をふやし、兵員をふやし、兵器を全部海外向けにしている国は日本だけになりました。(防衛庁の「防衛白書」にも「日本に攻めてくる国はない」と書いてあります。日本は「攻めていく国」なろうとしています。) 世界に「国連憲章に基づく平和で公正な世界」を求める流れが大きく広がっており、東南アジア友好協力条約には日本も調印しました。東南アジア諸国連合の動き、上海協力機構の動き、南米諸国共同体、アフリカ連合の動きなど、国連憲章にもとづく平和秩序をめざす自主的な地域共同体づくりが広がっています。非同盟諸国首脳会議には世界総人口の3分の2を占める118か国(およびオブザーバー15か国)が参加しています。 いま世界では、日本の憲法第九条こそ世界の平和を実現する指針だという声が広がっています。(国際民主法律家協会の決議、武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップの提言など。)平和へのロードマップは、日米安保条約をなくすこと、憲法第九条を輝かすことです。 「知らせたくない」政府、「知らせない、知らせられない」マスメディア。いま、私たちが事実を「知り、知らせる」こと、事実を直視することがたいせつです。学習をいたるところですすめ、草の根からの共同の輪を広げましょう。 (文責 事務局) |