|
目黒「九条の会」ネットワーク |
|
大岡山・憲法を考える会の第14回目のつどいは、2006年12月17日、弁護士の水口洋介さんをお招きして、「憲法改正の手続きに関する法案」(いわゆる「国民投票法案」)について次のようなお話を聞きました。 |
|
国会では、12月15日に教育基本法の採決が与党だけで強行されました。「国民投票法案」は継続審議になりましたが、自民・ 公明両党と民主党とが協議して共同の案にすることにほぼ話がついたようです。次の国会ではこの法案が重大な争点になるでしょう。 憲法研究者のおおかたの一致した意見は、憲法第96条の改憲手続きで国民主権・平和主義・基本的人権保障・権力分立の四つの原則を変更することはできないということです。「改正」が別の原則による「新憲法制定」だとすると、「国民投票法」自体がそもそも問題です。 憲法「改正」手続きでは三つの原則がだいじです。@公正な情報の提供が保障されること、A意見を表明する自由が保障されること、B投票の結果に広範な国民の意思が正確に反映されること。自民・公明案は、そうなっていません。民主案も基本的には同じです。きょうは自民・公明案について見ていきましょう。 お金をたくさん持っている側が有料広告の紙面や放送時間をたくさん買い取ることができるだけでなく、税金でまかなわれる「公報」や新聞の「無料広告」についても「国会の議席数に応じて」選ばれた「広報協議会」で「テレビの放送時間、回数、新聞掲載の寸法」まで「国会の議席数に応じて」決めます。議席数が多く、お金をもっている改憲派だけで、「公報」やテレビや新聞の大部分を独占できるのです。賛否双方公正に情報提供される状態からほど遠いものといえます。 公務員や教育者の「地位を利用した運動」が禁じられ、違反すると、最大禁固2年の刑務所行きです。憲法学者が大学の講義で自分の学説を述べるばあいも、これに当てはまるのではないでしょうか。「組織的多数人買収罪」、「利益誘導罪」などの犯罪を設けていますが、その内容もあいまいです。改憲に反対する人を逮捕したり、萎縮させたりするために使われるおそれがあります。 憲法第96条で過半数の賛成があったときに改正されることになっていますが、与党案はこの「過半数」を無効票や白票を除いた「有効投票」の過半数としています。投票率が50%、有効投票率が85%とすると、その過半数は22%ですから、与党案は有権者の20%強の賛成で「改正」を実現できることになります。「全有権者」の過半数ではじめて正確に民意を反映したといえるのではないでしょうか。多くの国では、たとえば50%とかの「最低投票率」を決めていて、それを割ると投票の結果が無効になりますが、与党案はそれもまったく考えていません。 改憲に有利、護憲に不利な、まったく不公正な法案です。こんな法案を出すのは改憲派の自信のなさのあらわれではないでしょうか。こんな不公正な法案を通すわけにはいきません。 「憲法を尊重し擁護する義務を負う」のはだれかご存知ですね。第99条に天皇・大臣・国会議員・裁判官・公務員がその義務を負うと書いてあります。国民にはこの人たちに憲法を守らせる権利があるのです。国民は法律用語でいう「憲法制定権力」で、お釈迦様が孫悟空の頭に「金の輪」を嵌めたように、「憲法」で「立法権力」である国会をしばり、この人たちをしばる力を与えられているのです。世界の歴史をさかのぼると、昔、王様が悪い政治を行い、自分の一存で戦争もやりました。これを許さないように、国民の力が大きくなり、憲法をつくって国家権力を制限するようになったのです。それで、今日、国会議員は法律を「みんなで決める」のですが、「みんなで決めてはいけないこと」もあるのです。 日本経団連の御手洗会長が商売のためにも、アメリカとつきあううえでも、憲法第9条がジャマだといっていますが、戦争をしよう、憲法を変えようとしている人たちは、ナマハンカなことでない決意をもって「金の輪」をはずそうとしています。自信がないくせに、絶対負けられないと思っているから、こんな不公正な手続きの法案をつくるのです。 イラクでの戦争で女性や子どもが大勢殺害されましたが、憲法第9条第2項がなくなったら、日本の自衛軍が中東の戦争に必ず出ていくことになります。若い人たちが戦争に行くかどうかがかかっている問題です。 この「国民投票法案」が成立したら、国会の「憲法調査会」が「憲法審査会」になり、憲法「改正」を国会で議論する段階になります。改憲にむかって階段を一歩大きくのぼることになります。 私たちの運動がすすんで、この法案を廃案にし、また、改憲の動きを挫折させることができれば、戦争をしようとしている人たちの計画は今後半世紀にわたり日の目を見ないでしょう。日本と世界の平和な未来が確実に開けてきます。ごいっしょにがんばりましょう。 (文責 事務局) |
|
9月21日に東京地方裁判所の難波裁判長が《東京都教育委員会が都立学校の教職員に職務命令で「君が代斉唱」などを強制するのは憲法・教育基本法に違反する》 という画期的な判決を出しましたが、水口さんは、この裁判の弁護団に参加し、原告の弁護を担当されました。その裁判で明らかにされた都立学校のようす、東京都教育委員会の強制の横暴な実態を紹介されました。 障害のある生徒が自力で卒業証書を受け取ることを目標にしてきたのに、演壇上で授与せよとの職務命令でフロアでの授与が禁止されたため、自力で受けとるのを断念した事例、生徒会が「君が代を考えるシンポジウム」を行った学校で校長と担当教師が「厳重注意」の処分を受けた事例、在日韓国人・中国残留孤児・クリスチャンの生徒にとって「君が代斉唱」の強制が耐えがたいことであった事例など。 水口さんは、参議院の採決強行で成立させられたばかりの教育基本法が、子どものあいだの競争をあおり、強固な国家主義を植えつけ、戦争にむかう道を固めるものであること、その意味で「国民投票法」・憲法「改正」をすすめる動きと一連のものであることを強調されました。 |